「オレは落ち着ける場所に移動するから、2人でちょっと時間潰してきてくれ」
 アツロウがCOMPのプロテクトを解析し始めた。
「あ~あ、アツロウがプロテクトを解除するまで、時間潰さなきゃだね。何して遊んでよっか?」
「じゃあカラオケにでも行こうか」
 しかし、夏休みの渋谷のカラオケ店はどこも混んでいた。しょうがないので、井の頭線で吉祥寺に行くことにした。吉祥寺もそれなりに混んでいたが渋谷ほどではなく、割とすんなり個室に入ることができた。
「あ、この部屋、電源取れるね。アツロウも呼ぼっか?」
 程なくしてアツロウが来た。
「お前ら、いくら遊んで来いって言ったからって、東京から出るなよ」
 吉祥寺も東京だよ!

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 PiPiPiPiPi 電話が鳴っている。ナオヤからだ。
「お前、今どこにいんの?」
「吉祥寺だけど?」
「何やってんのバカ! 早くアツロウの所へ戻れって、早くしないと始まっちゃうから!」
「ハァ?」
 何が始まるというのだ。意味が分からん。つかアツロウもここにいるし。こういうときは無視するに限る。
「ちょっと待て無視すんなって、おい、こら…」
 電源を切った。
「1番、谷川柚子、歌いまーす!」
「いよっ、ソデコー!」
「ソデコってゆーなっ!」
 オレたちの夏休みはまだまだこれからだ!

~fin~